問題 7: 次の⽂章を読んで、⽂章全体の内容を考えて、(41) から (45) の中に⼊る最もよいものを、1・2・ 3・4から⼀つ選びなさい。
これがおもしろいんだ!
每年夏になると⾃宅の書斎で⾃分作ったものがたりを語る会をしてい る。
⾃宅のある⼭梨県の⼩淵沢は⾼原で京しいし、参加⾃由だし、というわけで⼤勢の⼤⼈や⼦ どもが連⽇来てくれる。
去年の夏のこと。近くの別荘からおばあさんといっしょにしょっちゅう通ってくる⼩⼆(注1)の男の⼦がいた。とてもお話好きらしい。
だから、その⼦が来ると、ぼくも考えて、初めての話 をするようにしていた。
ところが、それが重なるとだんだんこちらも⼿持ちの話がなくなってく る。ないわけではないけれど、今年の新作は限られているし、他の⼈にも新作を聞いてもらいた い。
(41) 、来てくれた⼈を⾒渡して、その男の⼦にだけもう⼀度同じ話を聞くことを我慢しても らえば、他の⼈におもしろい話ができることに気がついた。そこで、彼には悪いなあと思いつつ 「ハヶ岳の霧という話をします」ときりだした。すると、男の⼦は顔⾯をくしゃくしゃにして、 (42) 。
「これがおもしろいんだ!」
そのとたんにぼくは悟った。
ぼくは彼を⾒くびって(注2)いた。
同じ話をして、 (43) 。
お話を聞き慣れていない⼦は知っている話にぶつかったとき、「あ、それ、知ってる!」という⾔ い⽅で終わりにする。あらすじを知ることがお話を知ることだと思い、すべてを消費していくだ けなのだ。でも、 (44) は違った。
お話で⼤切なのはあらすじではない。
あのいいまわし、あの呼吸、あ のどきどき感、あのばかばかしさ。それを何度でも味わうことなのだ。だから落語好きは知って いる話を聞くために何度でも寄席(注3)に通う。
あとから同じ道を歩いてくる、いい仲間に (45) 。
(杉⼭亮 『⺟の友』 2008年2⽉号による)
(注1)⼩⼆:⼩学校の2年⽣のこと。年齢7、8歳
(注2)⾒くびる:ここでは、相⼿を実際よりも低く評価すること
(注3)寄席:落語を観客に聞かせるための場所
41.
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